2026年6月、GLAYはファンとの10年越しの約束を果たすため、イタリア・ヴェネツィアでライブを開催します。あの日、幕張メッセの熱気の中で聞いたTERUの言葉が、いよいよ現実になるのです。しかし今、その約束の地への道には、戦争という暗い影が落ちています。公式ツアーの中東経由プランに、胸を痛めているファンも少なくないでしょう。また個人で手配している人も気が気でない状態だと思います。
本記事では、単なる事実の羅列ではなく、あの日あの場所にいた一人のファンとして、ヴェネツィアライブが持つ特別な意味、10年の夢に至るまでの知られざる道のり、そしてGLAYが示し続けてくれた「約束」と「平和への想い」を、改めて深く、熱く語りたいと思います。今だからこそ、彼らの歩みを振り返り、希望の光を見つけ出したいのです。
第1章:10年越しの夢、その始まりの瞬間
2016年7月31日、幕張メッセ。GLAYのファンクラブ「HAPPY SWING」の発足20周年を祝う、熱狂的なライブの終盤でした。最高の盛り上がりの中、TERUがふと、真剣な表情で語り始めたのです。僕も、会場の片隅でその瞬間を固唾を飲んで見守っていました。
「10年後、ファンクラブが30周年を迎える記念に、みんなでヴェネツィアに行かないか?」
一瞬の静寂の後、会場は割れんばかりの歓声と、信じられない、というどよめきに包まれました。メンバーさえも知らされていなかった、TERUからの突然の提案。スクリーンには美しいヴェネツィアのサン・マルコ広場が映し出され、彼の言葉が本気であることが伝わってきました。
「俺はヴェネツィアという素敵な場所でライブをやりたい。みんなヴェネツィアまできてくれるか?10年あるから、お金を貯めて待っててね!」
その言葉は、僕たちの心に深く、そして確かに刻まれました。それは単なる夢物語ではなく、GLAYとファンとの間で交わされた、固い、固い約束の始まりだったのです。
第2章:ヴェネツィアへの道程:カーニバルに刻んだ足跡
あの幕張での宣言から、ヴェネツィアはGLAYとファンにとって特別な場所になりました。そしてTERUは、その夢を有言実行で終わらせる男ではありませんでした。10年後のライブに向け、彼は驚くべき行動力で、ヴェネツィアとの絆を少しずつ、しかし着実に育んでいったのです。
2017年:TERU、単身ヴェネツィアへ
約束の翌年2017年2月、TERUは単身ヴェネツィアへ渡り、世界三大カーニバルの一つ「CARNEVALE DI VENEZIA」のメインステージであるサン・マルコ広場で、日本人初となるアコースティックライブを敢行しました。現地のストリングスとのカルテットで、この夢のきっかけとなった曲「the other end of the globe」、そして「HOWEVER」「疾走れ!ミライ」の3曲を披露。

画像:Carnevale di Venezia公式Xより
その歌声は、仮面をつけた世界中の観光客の心を捉え、言葉の壁を越えて喝采を浴びました。TERU自身も後に「ウェイターさんに『昨日のライブすごくよかった!』と言われたのが凄い自信に繋がった」と語っています。このたった一人の挑戦が、壮大な夢への確かな第一歩となりました。
2018年:TAKUROと2人でステージへ
TERUの情熱は、他のメンバーへと着実に伝播していきます。2018年にはリーダーであるTAKUROと共に、再びサン・マルコ広場のステージへ。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、そしてキーボードの現地ミュージシャン4名を迎えてのステージでした。イタリア語での挨拶や曲紹介を行いながら「the other end of the globe」「pure soul」「あなたといきてゆく」そして最後に「HOWEVER」を演奏しました。

画像:SPICEより
TERUは「Ci rivediamo l’anno prossimo! (また来年会いましょう)」、そしてTAKUROも「Grazie! (ありがとう)」とサン・マルコ広場に集まった聴衆に挨拶をし、大歓声を浴びながらステージを降りました。
実は本当は2月12日のステージを予定していたのですが、雨天ですべてのプログラムが中止に。そしてTERU & TAKUROのステージだけ翌日に振り替えとなりました。そういうトラブルはあったものの、8000名の前での大成功はヴェネツィアライブに向けて大きなステップとなりました。
2019年:JIROと共に紡ぐ夢
そして2019年、今度はJIROがその地に立ちます。TERU、JIRO、そしてDJ Massという異色の組み合わせで、「愁いのPrisoner」「YOUR SONG」「the other end of the globe」「HOWEVER」「I’m in Love」といった最新曲をストリングスアレンジ等で披露。

画像:LIVE Fansより
毎年のようにメンバーが入れ替わりでヴェネツィアを訪れ、カーニバルで演奏する。それは、10年後の約束に向けた、ファンへの最高の進捗報告ともいえました。
2020年:コロナ禍の絶望と、奇跡のオンラインライブ
4年目となる2020年2月。ファンが次に待っていたのは、TERUとHISASHIのコンビでした。しかし、彼らがヴェネツィアの空港に到着したまさにその瞬間、世界を悪夢に突き落とした新型コロナウイルスの影響で、カーニバルの中止が決定した、という非情な知らせが届きます。
世界中から現地に駆けつけていたファン、そして日本で見守っていた僕たちも、深い絶望に包まれました。しかし、GLAYは決してファンを裏切りませんでした。TERUとHISASHI、そしてスタッフは、急遽ヴェネツィアンガラスアーティスト・土田康彦氏のムラーノ島にある工房を借り、無観客でのYouTube生配信ライブを行うことを決断したのです。

画像:YouTube
カーニバル中止決定からわずか1日。現地の機材だけで行われたそのライブは、まさに奇跡でした。ガラス工房の幻想的な雰囲気の中、TERUとHISASHI、DJ Massの3人が奏でるサウンドは、物理的な距離を越えて、僕たちの心に直接届きました。TERUは配信の中で「ヴェネツィアより愛を込めて」という言葉を残し、どんな状況でもファンとつながろうとするGLAYの姿勢を改めて示してくれました。この迅速かつ心のこもった「神対応」は、GLAYがファンをどれだけ大切に思っているかの、何よりの証明となったのです。
第3章:GLAYが紡いできた「約束」の歴史
今回のヴェネツィアライブへの揺るぎない信頼は、GLAYがこれまで紡いできた「約束」の歴史に裏打ちされています。
僕がGLAYを信じ続ける最大の理由の一つが、2005年の東京ドーム公演で生まれた「白いジャケットの約束」です。当時、バンドは独立を巡る騒動の渦中にあり、未来が見えない不安の中にいました。そのライブの最後にTERUは、着ていた白いジャケットをマイクスタンドにそっとかけると、こう宣言したのです。「10年後、このジャケットを必ず取りに来る」。その言葉を信じ、待ち続けた10年。そして2015年、彼らは約束通り東京ドームのステージに帰還しました。あの時の感動は、一生忘れることはないでしょう。
「絶対に解散しないバンド」という、ファンへの最大の約束。これらの歴史があるからこそ、僕たちはどんな困難な状況でも、GLAYを信じ、希望を託すことができるのです。
第4章:GLAYと平和への想い —TAKUROが発信し続けたメッセージ—
GLAYの活動は、常に「平和への願い」と共にありました。特にリーダーであるTAKUROは、その想いを度々行動で示してきました。
2003年のイラク戦争開戦時、彼は個人サイト「TAKURO-NO-WAR.jp」を立ち上げ、明確に反戦の意を表明しました。人気ロックバンドのリーダーとしては異例とも言えるこの行動は、当時大きな反響を呼びました。
その姿勢は近年も変わることはありません。ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、彼は深い悲しみとやるせなさの中から「Only One, Only You」という楽曲を書き下ろし、ウクライナへの人道支援として1000万円を寄付しました。TAKUROはインタビューで、「戦争はなくすべき、でも絶対なくならない」という葛藤を吐露しつつも、音楽家として、傷ついた人々の心に寄り添い、平和を願い続けることの重要性を語っています。
今、再び世界に戦火が広がっているこの状況に、誰よりも心を痛めているのは、彼ら自身なのかもしれません。
第5章:緊迫する中東情勢と、ヴェネツィアへの道 ——最新情報を徹底解説——
今、ファンが最も気になっているのは、「6月のライブは本当に開催されるのか」「ツアーで無事にヴェネツィアに行けるのか」という点でしょう。ここでは、ロイター、ブルームバーグ、NHK、日経ビジネス、外務省など、複数の国内外メディアの最新報道を基に、現状と今後の見通しを詳しく整理します。
そもそも何が起きているのか
2026年2月28日、米国とイスラエルはイランへの大規模な軍事攻撃を開始しました。これを受けてイランは湾岸諸国への報復攻撃を実施。イラン、イラク、カタール、UAE(アラブ首長国連邦)など中東各国が次々に空域を閉鎖し、世界の航空網は一夜にして激変しました。
Aviation Wireなどの報道によれば、攻撃開始からわずか数日で1万1,000便以上が欠航。普段なら離着陸が途切れないドバイやドーハの空から航空機が消え、国際線の”高速道路”が途絶するという、にわかには信じがたい光景が現実になりました。
各航空会社の現状(2026年3月6日時点)
公式ツアーに使われる3つの航空会社の状況は、それぞれ大きく異なります。
| 航空会社 | 現状 | 詳細 |
| エミレーツ航空(ドバイ経由) | 限定的に再開 | 3月5日にドバイ発羽田行きEK312便が中東発着便として初めて運航。ただし定期便は3月7日23時59分(UAE時間)まで全便運休。乗客は早期予約者のみ優先対応 |
| トルコ航空(イスタンブール経由) | 概ね運航継続 | イスタンブールはイランから地理的に離れており、黒海・中央アジア上空を経由するため比較的安定。ただしイラン・イラク・シリア・レバノン・ヨルダンなど中東各国への便は3月6日まで欠航 |
| カタール航空(ドーハ経由) | 全便運休継続 | カタール空域が閉鎖中のため全便運休。JALのドーハ線も羽田発3月14日まで、ドーハ発3月15日まで欠航が決定。再開時期は未定 |
日経ビジネスによれば、エミレーツ航空が採用しているのは「オマーンルート」と呼ばれる迂回経路です。UAEからオマーンの空域を経由することで、イランやイラクの危険空域を避けて飛行する方法で、現在この「脱出路」に注目が集まっています。
JAL・ANAの欧州直行便はどうなっているのか
GLAYの公式ツアーとは別に、自力でヴェネツィアを目指すファンにとって気になるのが、JALやANAの欧州直行便の状況です。
旅行情報サイト「弾丸トラベルは怖くない!」や日経ビジネスの報道によると、JAL・ANAの欧州便は現在、ロシア上空を避ける「北回り」(アラスカ・北極圏経由)と「南回り」(トルコ・中央アジア経由)の迂回ルートを採用しています。
日本時間の3月3日には、ANA機がウズベキスタン上空を通過してイスタンブールから羽田へ、JAL機がロンドン・ヒースロー空港を離陸してほぼ同じ「イランの北回りルート」で羽田を目指したことが確認されています。このルートは、イラン・イラク・湾岸諸国の空域を一切通過しないため、今回の中東情勢の影響を直接受けないのが最大の強みです。
ただし、JALのドーハ線(羽田-ドーハ)は2月28日から欠航が続いており、これはカタール空域の閉鎖に直接影響を受けているため、別途注意が必要です。
停戦の見通しは? 「6月停戦説」の根拠
最も重要な問いは、「6月のライブまでに情勢は落ち着くのか」という点です。
ロイターが3月5日に報じた「マクロスコープ」分析記事によれば、米国の予測市場「ポリマーケット」では、停戦時期について「3月中」が3割超まで下がる一方、「6月まで」が約7割まで上昇しています。なぜ「6月」なのか、その背景には複数の政治的・経済的要因があります。
① 米国の中間選挙対策:今秋の中間選挙を控えるトランプ政権にとって、夏の休暇シーズンのガソリン価格高騰は支持率低下に直結します。遅くとも6月中に事態を収束させる必要があるという見方が根強くあります。
② サッカーW杯の開幕:6月には北中米3カ国でFIFAワールドカップが開幕します。イラン代表がロサンゼルスで初戦を迎える予定であり、戦火の最中に試合が行われれば国際社会の反発が高まるため、政治的に収束を急ぐ圧力になるとの分析があります。
③ 米国建国250周年:7月4日は米国建国250周年の大規模祝賀行事が全米各地で予定されています。「トランプ氏は晴れ晴れしい気持ちで当日を迎えたいはずだ」という見立ても6月説を支える材料となっています。
④ FRBの利下げ圧力:6月には新FRB議長就任後初のFOMCが開かれます。トランプ政権が利下げを後押しするには「少なくとも原油価格が鎮静化している必要がある」(第一生命経済研究所)との指摘もあり、経済的にも6月収束への圧力がかかっています。
一方で、NHKは3月5日、ニューヨーク・タイムズの報道として「イランが攻撃開始翌日の3月1日、第三国の情報機関を通じてCIAに停戦条件の協議を打診していた」と伝えました。トランプ政権は現時点では懐疑的な受け止めをしているとのことですが、イラン側が早期の交渉を望んでいることは確かです。
さらに、中国の王毅外相は3月4日、中東問題担当の特使を地域各国に派遣し、仲介・調停に向けた取り組みを進めると表明しました(VOV報道)。中国はイランから大量の原油を購入しており、中東情勢の混乱はエネルギーの安定調達を揺るがしかねないため、積極的な仲介に動くとの見方があります。
公式ツアーの3コースを改めて整理する
近畿日本ツーリストの公式ツアーには、3つの航空会社コースがあります。それぞれの現状と見通しを整理しましょう。
| コース | 航空会社 | 経由地 | 現状 | 今後の見通し |
| エミレーツ航空コース | EK(成田発) | ドバイ乗り継ぎ | 限定便のみ再開。定期便は3/7まで全便運休 | オマーンルートで段階的復活の可能性あり。情勢次第 |
| トルコ航空コース | TK(羽田発) | イスタンブール乗り継ぎ | 概ね運航継続。中東各国への便のみ欠航 | 3コース中最も安定。イスタンブールは中東から地理的に離れている |
| カタール航空コース | QR(成田発) | ドーハ乗り継ぎ | 全便運休継続中。再開時期未定 | 3コース中最も不透明。カタール空域の閉鎖が続く限り運休 |
現時点での安定性という観点では、トルコ航空コースが最も影響を受けにくい状況です。イスタンブールのアタテュルク空港は中東の紛争地域から地理的に距離があり、日経ビジネスが「空のシルクロード」と表現した欧州-アジア間の代替ルートの中核を担っています。
楽観視できない点も正直に
希望の材料がある一方で、楽観視できない点も正直に伝えなければなりません。
ブルームバーグは「中東の空の便運航停止、アジア系航空会社に旅客が殺到」と報じており、代替便への集中による混雑と運賃高騰が起きています。欧州便の航空運賃はこれまで以上に高騰しているとの報道もあります。また、ホルムズ海峡の封鎖が長引けば原油価格の上昇が続き、燃油サーチャージが大幅に引き上げられる可能性もあります。
さらに、今後の展開によっては、旅行会社がツアーの催行中止や行程変更を余儀なくされる可能性も否定できません。近畿日本ツーリストの公式サイトには「ツアーの内容やスケジュールは現地にて変更の場合がございます」との注記があり、旅行会社も状況を注視していることがうかがえます。
それでも、希望を持ち続けていい理由
しかし、それでも僕は希望を持ち続けています。
ライブまでまだ3ヶ月あります。「6月停戦説」には複数の根拠があり、イラン自身も停戦協議を打診しているという事実があります。中国という大国が仲介に乗り出しています。エミレーツ航空はすでに「オマーンルート」で日本便を再開し始めています。トルコ航空のイスタンブール経由便は今も飛び続けています。
情勢は刻一刻と変化しています。今この瞬間が最も混乱した状況であり、ここから少しずつ、回復に向かう可能性は十分にあります。
諦めずに希望を信じる
GLAYの姿勢に倣い、私も世界平和を一番に望みます。そして、それと同じくらい、TERUの夢が叶うこと、ヴェネツィアライブが無事に成功することを、心の底から願っています。
GLAYはこれまでも、どんな困難な状況でも、ファンとの約束を守り、希望の光を灯し続けてくれました。2020年のコロナ禍でさえ、彼らは奇跡のライブを届けてくれたのです。今この瞬間も、メンバーたちは世界の状況を見つめながら、それでもヴェネツィアへの夢を諦めていないはずです。
TAKUROが2003年のイラク戦争の時も、2022年のウクライナ侵攻の時も、音楽で平和を訴え続けたように、GLAYというバンドは戦争を憎み、平和を愛するバンドです。だからこそ、今の状況を誰よりも悲しんでいるのは、彼ら自身でしょう。
私たちにできることは、彼らと同じように、希望を失わず、平和を願い続けることではないでしょうか。
一日も早く、世界に平和が訪れますように。
そして、約束の地ヴェネツィアで、GLAYとファンが最高の笑顔で再会できますように。

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