GLAY 「MUSIC LIFE」の各曲の聴きドコロをギタリスト目線でグルメリポーティングしていく本企画「MUSIC LIFEの聴きドコロ」がいよいよスタートです。毎日更新していくので皆さんよろしくです!
さて初日に選ばれたのがHISASHIによる『妄想コレクター』。YAVAI YAVAIを体現するような曲であり、聴きドコロシリーズでも第一弾に持ってきました。
上に書いたニュースのワンシーンのようなセリフが両耳から聞こえてくるこの違和感。この謎の曲「妄想コレクター」を解剖していきましょう!ぜひCDを聴きながら味わってほしいものですね。
イントロ~Aメロ
イントロの説明がこの記事の中で一番マニアックです(笑) I’m Yours(Knightmare Mix 99)のような妖しい始まり。TERU(?)の息をひそめている吐息から曲が始まります。
その後ギターが入ってきますが、ここが早速HISASHIらしく遊んでくる!
ダダッ ダダッ ダダッ ダダッ
というギターの後に機械音のリズムとギター(かキーボード)が入ってきますが、これがもうリズム感を狂わせまくります。
はじめの「ダダッ」というリズムに合わせて聴いていると肩透かしを食らうような、そんな印象。そして4/4拍子の曲なのにギターのフレーズが3/4にあわせて繰り返しループするので、リズムだけじゃなくてギターにも弄ばれている印象。正直慣れるまではこのイントロと「グレイの街に生まれて」のAメロを聴くのはちょっと緊張感がある。
そして2回目のAメロはそれまでの気持ち悪さから一転して、ごく普通の8ビートなのにやけに安定感がある。これはもう、それまでの不安定からの開放によるギャップによるものですね。そして、「ただ繰り返し」からリズムとギターの様子が急に変わり、一気にサビへの展開!
「首をーたーてーに振りー続ーけた」というフレーズ、なぜかとてもリズムが心地よい!! のばす音だらけなのに、間延びせず綺麗なフレーズになっていて、とても不思議です。TERUの歌い方によるものなのか、HISASHIの言葉選びなのか。どちらでしょうか。
そして注目すべきはタイトルにも書いたとおり「振り続けた」の裏で聞こえるとても存在感のあるピアノ。これがなんだか妖しげなこの曲を一層引き立てている。グランドピアノが置いてある洋館のヴァンパイアみたいな怪しさ。
サビ~ギターソロ
そしてサビがまた特殊ですね。最近のGLAYの曲はいわゆるAメロ→Bメロ→サビというセオリーをあえて無視しているような印象です。この曲も構成的には次のようになっていると思います。
Aメロ2回→Aサビ→Bサビ→ギターソロ→Aメロ→Aサビ→容疑者の感想→Bサビ
もはやセオリーは無視ですね。以前に私は生意気にも「GLAYはもうBメロを作るな」と書いたことがありますが、この曲はBメロがサビに昇華したイメージを受けます。
便宜的に「未熟で稚拙な頭脳は~」をAサビ、「あなたに認められたくても」とします。Aサビでもピアノの音がとても印象的ですね。そして「快楽のメロディ」の直後ではHISASHIはアップダウンを繰り返すようなフレーズを弾いています。これはおそらくオクターブ奏法といって、一つの音をオクターブの違う2音を鳴らす奏法です。ギターでは一般的な奏法であり、この曲のイントロでも使われていますが、最近のHISASHIはあまり使っていなかった奏法なのでちょっと意外です。
そして「あ・な・た」でドラムがスネアを3発叩いて少し印象が変わり、Bサビへ。このBサビの歌詞はなんと言ったら良いか、かなり色気のある内容になっていますね。HISASHIが何を想って書いたのか、ぜひ聞いてみたいものです。
ギターソロではさすがHISASHIというか、私がなんども言っているピッキング・ハーモニクス奏法がバッチリ使われています。というかピッキング・ハーモニクスを引き立たせるためのフレーズのようにも聴こえます。こういうロックな曲に合うんですよね。
ピッキング・ハーモニクスってなに?という方はこちらをご参照ください。
17歳の少年のニュース
さて、少しジャンプして2番のAサビが終わったところまで行きましょう。そう、誰もが耳を疑うなぞの間奏です。
左チャンネルからは女性キャスターによる、高校生の殺人未遂
右チャンネルからは男性キャスターによる、いじめ事件のニュース
とても難しかったし、完璧じゃないけど歌詞を耳コピしてみました。(男の方は全然聞き取れない。。。)
という謎のシーン。
(追記)コメントでまなぶさんから情報提供がありました。
かなり衝撃的な内容なので、【衝撃】妄想コレクターに出てくる17歳少年の事件は、妄想ではなく現実だったという記事を別途書きました。
少年犯罪をテーマにし、非常にダークな感じのする感想。ここでHISASHIが何を言おうとしているのかを考えている最中、パッと思い浮かんだものがあります。それはSAY YOUR DREAMの歌詞。
古びた教会の時計が告げる誰にも新しい朝が来る
坂道少しずつ陽の当たる場所が広がり心を温めた十七の頃
この歌詞って、17の少年にとってのとても輝かしい前途洋々な未来を物語っているといえますよね。誰にも新しい朝が来るとも言っていますし。ただ、妄想コレクターに出てくる二人の少年は、道を踏み外して前途多難な人生を歩むことになる。
なんだかSAY YOUR DREAMの少年と真逆の二人というのが妙にコントラストが映えて、なんとも言えない気持ちになります。HISASHIはよく歌詞の色を対比で表現したりしますが、今回のはさらにスケールがでかいです。HISASHI渾身の現代社会のCynical(皮肉)のようにも感じます。
もちろんこれは私の勝手な憶測による解釈です。ちなみにアイでもカップリングのSOUL LOVEと歌詞をダブらせて「2つの影」を意図的に使っているので、あながち本当に意識していたのかもしれません。
ギターソロのラストに注目!
それにしてもこのニュースのセリフ部分ですが、ラストがこれまた絶妙なんです。
いつまで続くんだろうこのニュースと想って聞いていると、いきなりピアノが入ってきておもむろに終了を予感させたと思いきや、それまでバラバラに喋っていてとても気持ちの悪かった二人のキャスターが同時に「容疑者は17歳の少年でした」とハモる。
そして一瞬無音になったと思った矢先、何事もなかったかのようにTERUが「コンクリートの」と入ってくる。
この一連の構成の計算しつくされている感がとてもくせになってしまいます。特に最後のTERUのある種KYな入り方wなんかもうムチャクチャカッコイイですよね!
私はこの曲もう何度もリピートで聴きましたが、この「コンクリートの」以降、失神で記憶が飛んでるくらいに、このサビへの入りで全てを持って行かれますw
ということで、この妄想コレクターについては
最大の山場は
『17歳の少年でした』→『コンクリートの』
というワンシーンで決定!というわたしの中の結論で締めくくりたいと思います。
結局今回はJIROもTAKUROも一度も出てこなかったwいいのか、こんなので!
最後に
皆さん、いかがでしたでしょうか。長かったですが最後までお読みいただきましてありがとうございます。
なんとなく聴き流していた場所が、この記事によって更に深まったりして、皆さんのGLAY愛が深まればなと思っています。
こんな感じでMUSIC LIFEの全ての曲を解説しています。ぜひ他の曲の記事もお読みいただき、味わいを深めてほしいなと思います。
右側の男性アナウンサーは「手で絵を隠し・・」じゃなくて「手で目を隠し・・」と言ってるような気がします。