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GLAYの歌詞は、30年でどう変わったのか。10年ごとに数えてみた

「HOWEVER」の頃のGLAYと、いまのGLAY。歌詞の言葉は、変わったのでしょうか。変わっていないのでしょうか。

歌詞の分析、3本目です。1本目では「夢」と「愛」を数え、2本目ではふだんの会話と比べました。今回は時間の軸です。GLAYの歌詞を10年ごとに分けて、どの言葉が増え、どの言葉が減ったのかを数えてみました。

第1章:10年ごとに分けた

曲を発表年で4つに分けました。前回までと同じ、2024年10月までのデータです。

時期曲数うちTAKURO作詞
1994〜99年78曲68曲
2000〜09年105曲81曲
2010〜19年71曲52曲
2020〜24年38曲32曲

時期ごとに曲数が違うので、比べるのはすべて「その言葉が入っている曲の割合」です。どの時期もTAKUROさん作詞の曲が7〜9割を占めます。時期による違いの多くはTAKUROさんの書き方の変化だと思いますが、ほかのメンバーの曲の割合の違いも混ざっています。

数え方は前回までと同じ。ある言葉が1曲の中に何回出てきても、その曲は1曲。「夢」は「夢見る」「悪夢」を含め、「愛」は「愛する」「愛情」「恋愛」を含めます。

第2章:最も使われる言葉は、変わらない

まず、それぞれの時期でよく使われた言葉の上位です。

時期1位2位3位4位5位6位
1994〜99年
2000〜09年
2010〜19年この
2020〜24年もう

1位と2位は、どの時期もです。1本目でも取り上げたとおり、90年代はが1位。この表では2010〜19年だけが1位になり、ほかの時期はが1位です。順番が入れ替わるだけで、顔ぶれは変わりません。最も使われる言葉には、30年間、あまり変化がありませんでした。

正直、ここは少し拍子抜けでした。でも面白いのは、その周りです。

第3章:周りの言葉は、入れ替わる

時期ごとに偏って使われた言葉を機械的に取り出すと、1994〜99年には「皮肉」「空回り」「ナイフ」「秘密」「暗闇」が並びます。2000〜09年は「永久」「宝物」「絶望」「地図」。2010〜19年は「後悔」「ありがとう」「誓う」「扉」。2020〜24年は「願い」「悩む」「希望」「星」。言葉だけ見ても、なんとなく時代が分かります。

そのうち動きの大きい8語を、10年ごとに追ったのがこの図です。

10年ごとに増えた言葉と減った言葉
10年ごとに、その言葉が入っている曲の割合。左の4語は減った言葉、右の4語は増えた言葉

減ったのは「嘘」「時代」「街」「ナイフ」。「嘘」は1994〜99年の15%から2020〜24年の0%へ。「時代」は23%から13%へ。「街」は28%から21%へ。「ナイフ」は9%から、2000年以降はほぼ消えました。

90年代のナイフは、こんなふうに出てきます。

フレーズ曲名
錆びたナイフ君に突き刺せばTwo Bell Silence1994
錆びたナイフ胸に刺して 今は遠い君を想うよFreeze My Love1995
ロマンスのナイフは首すじに/でも LonelinessMore than Love1996
皮肉な笑顔のそのウラに隠したナイフ口唇1997

増えたのは「星」「未来」「明日」「笑う」。「星」は3%から18%へ、「未来」は12%から2010〜19年の25%へ、「明日」は17%から26%へ。ナイフを隠した90年代から、星と明日を歌う2020年代へ。言葉だけを見ると、そういう絵になります。

フレーズ曲名
星よ/心が選んだ道を共に駆けてゆくStar ToursInto the Wild2020
空を駆ける星たち 宇宙を巡る死の淵BAD APPLE2021
星降る夜 君は白いコートでWinter Moon Winter Stars2021
もしも赤く流れる星を見たなら願うのさBack Home With Mrs.Snowman2024

第4章:「俺」が減って、「私」が現れた

いちばん動きがはっきりしていたのは、一人称でした。

「俺」が減って「私」が現れた
一人称・二人称が入っている曲の割合、10年ごと

「俺」は1994〜99年に20%、2000〜09年に24%の曲にあったのが、2020〜24年には8%。「お前」も2000〜09年の20%から8%に減りました。

いっぽう「私」は、1994〜99年には1曲もありません。それが2010〜19年に14%、2020〜24年に10%の曲に現れます。いちばんはっきり動いたのは、この「俺」と「私」です。

90年代の「俺」と、2010年代以降の「私」を、並べてみます。

フレーズ曲名
背中を押されこの暗闇に 居場所を探す俺がいるINNOCENCE1994
教えてくれ 俺はこれから何を 失ってゆくのか…」Together1996
笑いながら涙ながら、私は生きている運命論2012
そんな私の何かが少しずつ変わっていった時計2013
意地悪をして「またね」と答えて 慌て顔「嘘よ」頷く私あなたといきてゆく2017
私はいつでもそばにいるBeautiful like you2024

「私」が出てくる曲を読んでみると、半分ほどは女性の目線で書かれています(TAKUROさんの曲にも、HISASHIさんの曲にもあります)。歌詞の中の「私」は、書き手本人とはかぎらないようです。

第5章:脱線。英語は減っていない

Jポップ全体では、90年代を境に歌詞の英語やカタカナが減ったと言われることがあります。GLAYはどうか。アルファベットで書かれた言葉の割合を時期ごとに見ると、10.9%、11.0%、7.5%、13.9%。減っていません。むしろ2020年以降がいちばん高い。

第6章:この数え方で言えないこと

  • 10年の区切りは便宜的なものです。区切りを変えれば見え方も変わります。2020〜24年は38曲しかありません。
  • 時期ごとに偏った言葉は、何千語の中から機械的に取り出したものなので、偶然だけで偏る言葉も混じります。「流れ」として読んでください。
  • 時期の違いと作詞者の違いを分けていません。TAKUROさん以外の作詞の割合は、時期によって違います。

おわりに

最も使われる言葉は変わらず、周りの言葉が入れ替わる。ナイフを隠していた人が、星と明日を歌い、「私」の声で書くようになる。30年分の歌詞を並べると、そんな絵が見えました。

「この言葉、昔はもっとあったよね」「この曲の「私」は誰の声だと思う?」など、気づいたことがあれば、ぜひXで教えてください。