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GLAYの歌詞でいちばん多い言葉は「愛」だと思っていた。徹底的に数えたら、驚きの連続だった

皆様お元気ですか?GLAYLIFEドットコム管理人の安東です。

突然ですが、GLAYの歌詞でいちばん多く出てくる言葉は何でしょうか。

私はずっと、「愛」だと思っていました。90年代のGLAYは愛を歌っていた。「HOWEVER」も「誘惑」も「BELOVED」も、あの頃のGLAYは愛のバンドだった。長く聴いてきた実感として、疑ったことがなかった。

で、ある日ふと確かめたくなったんです。普段からデータ分析をやっている人間の悪い癖で、「なんとなく」を数字にしたくなる。というわけで今回は、GLAYの歌詞292曲(2024年10月までのデータ)を全部数えてみました。結果は、驚きの連続でした。

第1章:数え方のルールを整えた

まず、いちばん大事な決めごとです。ある言葉が1曲の中に何回出てきても、その曲は「1曲」と数える。

なぜかというと、サビです。サビで「夢」と3回繰り返す曲があれば、回数で数えると「夢」は3回になります。でもそれは「夢という言葉をよく使う」というより「サビで夢を繰り返した」というだけの話。なので、回数ではなく「その言葉が入っている曲が何曲あるか」で数えます。実は以前にも、人工知能でGLAYの歌詞を分析した記事を書いたことがあります(2022年)。この時はまだChatGPTが出る前だったので、自分で形態素解析(日本語を単語ごとに分解する処理)を行いました。そしてExcelでゴリゴリ計算していたのが懐かしいです。今回はAIの性能もかなり上がってきたので、改めて様々な分析を行ってみています。そのときは回数で数えていたので、ここは前回からの反省点でもあります。

もうひとつ、数えるのは、その言葉の意味が残っている語までです。「夢」なら「夢見る」「悪夢」は入れて、意味の変わる「夢中」は入れない。「愛」なら「愛する」「愛情」「恋愛」は入れて、「愛想」「可愛い」は入れない。「愛しい」は形容詞で意味が少しずれるので、今回は入れていません。

第2章:一度目の驚き。1位は「愛」じゃなかった

結果がこちらです。

曲数の多い名詞の上位15語
曲数の多い名詞の上位15語。夢は「夢見る」「悪夢」、愛は「愛する」「愛情」「恋愛」なども含めた数。薄い棒は「時」「事」「まま」のような、どんな歌詞にも出てくる語

1位は「夢」でした。174曲。「愛」は168曲で2位。

結果を見て、しばらく画面を見ていました。差はたった6曲。「夢」がある曲は全体の60%、「愛」は58%。「GLAYの歌詞の半分以上に夢があり、半分以上に愛がある」と言うのが正確なところです。「愛」が半分以上にあるのは分かる。でも「夢」が本当にそんなに使われているのか。さすがに眉唾だったので、何度も確認しました。それでも私は「愛」だと確信していた。だから驚いた。

第3章:「BEAUTIFUL DREAMER」以降、夢のバンドになったのか?

ここで私は、こう考えました。

「そうか、GLAYは2003年の『BEAUTIFUL DREAMER』のころから夢を歌うバンドになったんだ。それより前は愛が上で、それより後で夢が増えたに違いない」

これなら私の実感と両立します。90年代は愛のバンド、BEAUTIFUL DREAMER以降は夢のバンド。きれいな話ではないか。というわけで、発売日の2003年10月16日で曲を前と後に分けてみました(当日発売の「BEAUTIFUL DREAMER」は後に入れています)。

BEAUTIFUL DREAMERの前と後で、その語が入っている曲の割合
「BEAUTIFUL DREAMER」の前と後で、その語が入っている曲の割合。薄い棒が前、濃い棒が後

「夢」は、前も後もほとんど同じでした。増えていない。変わったのは「愛」のほうで、前より後が少ない。TAKURO作詞の曲で見ると、「愛」は前75%から後55%へ、「夢」は前64%から後63%です。

つまり、あの曲のあとで「夢」が増えたのではなく、隣にあった「愛」が減ったので、相対的に「夢」が前に出た。きれいな話は、ここで崩れた。二度目の驚きです。

第4章:でも、90年代は「愛」だった

じゃあ私の実感は全部間違いだったのかというと、そうではありませんでした。3年ごとに割合を追うと、90年代の「愛」は明らかに突出しています。

夢・愛が入っている曲の割合(3年ごと)
「夢」「愛」が入っている曲の割合(3年ごと)。薄い帯は、曲数が少ないために割合がぶれる範囲の目安

3年ごとの割合なので、最後の区間だけ見ると「愛」が上に来ています。全期間で積み上げるとこうなります。「夢」が上なのは、この累計のほうです。

夢・愛が入っている曲の累計
「夢」「愛」が入っている曲を、デビューから積み上げた数

1994〜96年は72%、1997〜99年は75%。90年代のGLAYは、4曲に3曲で「愛」を歌っていました。TAKURO作詞に限れば1997〜99年は82%、5曲に4曲です。2000年に入ると49%に落ち、そのあと一度もこの水準には戻っていない。

よく見ると、90年代の中でも前半と後半で違います。1994〜96年は「夢」74%、「愛」72%でほぼ並んでいます。メジャーデビュー前後で、まだ夢を見ている側でもあった時期です。それが1997〜99年になると「愛」75%、「夢」47%と、愛が大きく抜ける。「HOWEVER」「Winter, again」が出た、あの時期。

時期「愛」が入っている曲の割合
1990年代73%(78曲中57曲)
2000年代52%(105曲中55曲)
2010年代49%(71曲中35曲)
2020年代55%(38曲中21曲)

「90年代は愛のバンドだった」という実感は、数字のとおりでした。外れていたのは、その先の「BEAUTIFUL DREAMERで夢のバンドになった」のほう。実際には「夢」はデビューのときからずっとそこにあって、90年代はその隣に「愛」がたくさんあった、というのが正しい絵だったわけです。

この数字は、TAKUROさん自身の言葉とも重なります。エッセイ『胸懐』(幻冬舎、2006年)の第四章に、こうあります。

『HOWEVER』や『Winter, again』だけでなく、もっといえば、『neverland』も『BELOVED』も『ALL STANDARD IS YOU』も、君のことを想って書いたんだといってやりたかった。それだけじゃない、この十年間に書いた曲は、つまりすべて君に捧げたものだった、と。

(中略)

彼女に恋い焦がれることによって、僕は詞を書き続けた。僕の書いたラブソングのほとんどすべては、彼女にインスパイアされたものであり、彼女から受けたインスピレーションを種として咲いた花のようなものだった。

(TAKURO『胸懐』幻冬舎、2006年、168〜169ページ)

「愛」が4曲に3曲あった時期は、本人が「この十年間」と呼び、ラブソングを書き続けていたと語る時期そのものなんですね。

第5章:「夢」って、どっちの夢?

ここで、ずっと気になっていたことがありました。「夢」には意味が二つ以上あります。「将来の夢」と、「昨夜見た夢」。同じ「夢」という字ですが、歌詞の中でどちらの意味かは、前後を読めばだいたい分かります。GLAYの「夢」は、どっちなんでしょう。

そこで、「夢」が出てくる箇所を前後の文脈で読んで、3種類に分けました。

  • 未来・願いの夢:叶える、追いかける、描く、夢の続き、夢の途中、夢に破れる、のように使われているもの。
  • 眠りの夢:眠り、目覚める、覚める、夢に出る、夢で逢う、のように使われているもの。
  • 幻・はかなさの比喩:夢のよう、浮世の夢、砂上の夢、のように使われているもの。

どうしても決められなかったものは、無理に分けずに「判別できず」として残しました。曲数で見るとこうなります。

意味曲数
未来・願いの夢138
眠りの夢24
幻・はかなさの比喩18
判別できず11

同じ曲に二種類の夢があるときは両方に数えているので、合計は「夢」のある174曲より多くなります。

「夢」のある曲の79%に「未来・願いの夢」がありました。GLAYの「夢」は、ほとんどが目を開けて追いかけるほうの夢です。ここまでは、まあそうだろうなという結果。面白かったのは、作詞者ごとに見たときです。

作詞者ごとの、未来の夢・眠りの夢・幻の夢の曲数
作詞者ごとの「夢」の中身(曲数)。同じ曲に二種類の夢があるときは両方に数えているので、合計はその作詞者の「夢」のある曲数より少し多くなる

TAKUROの「夢」は、疲れたり、蹴ったり、溺れたりする

まずTAKUROさん。未来の夢119曲に対して眠りの夢18曲で、だいたい7対1。ここまでは普通です。面白いのは、その未来の夢を、もう一段分けてみたときでした。

「夢」の前後を読んで、疲れる・破れる・すがる、のような「負ける夢」と、追いかける・描く・叶える、のような「つかむ夢」に分けます(「夢を見る」「夢の続き」のような、どちらでもないものは除きます)。TAKUROさんは、負ける夢が48曲、つかむ夢が41曲。つかむ夢より、負ける夢のほうが多いんです。

「負ける夢」から、いくつか挙げます。デビューから最近まで、ずっとあります。

フレーズ曲名
愛を殴って夢を蹴る彼女の“Modern…”1994
夢に溺れてみたいなんてカナリヤ1996
慣れない街の届かぬ夢に迷いそうな時にもHOWEVER1997
あといくつの夢を踏めば安らかに眠れるのかHEAVY GAUGE1999
夢に破れた俺をお前は一言も責めなかったLAYLA2006
ただ夢を疑うのがコワイ変な夢~THOUSAND DREAMS~2006
抱きしめ損ねた夢を弔っているMIRROR2007
大切な夢までも無くしたのねSatellite of love2010

もうひとつ、「幻・はかなさの夢」は全部で18曲あるのですが、そのうち16曲がTAKUROさんです。夢をはかないものとして書くのは、ほぼTAKUROさんだけ。

幻・はかなさの夢がある曲の作詞者の内訳
幻・はかなさの夢がある18曲を、誰が作詞したかで分けたもの

たとえば、こんな行です。

フレーズ曲名
刹那の夢Life~遠い空の下で~1994
浮世の夢だってわかっちゃいるけどSHUTTER SPEEDSのテーマ1996
砂上の夢にただ酔いしれどgirlish MOON2002
兵どもの夢の跡LOVE IMPOSSIBLE2013

HISASHIの「夢」は、夜に見る夢

HISASHIさんは、「夢」のある12曲のうち、眠りの夢が5曲、未来の夢が7曲。ほぼ半々です。

実際の行を見ると、よく分かります。

フレーズ曲名
たかが悪夢WORLD'S END2007
名も無き丘の上で夢で逢えたら風にひとり2010
夢が覚めないだけさ風にひとり2010
バッド・エンドの悪い夢に目覚めのキスを妄想コレクター2014

HISASHIさんの「夢」は、追いかけるものというより、夜のあいだに見て、覚めて、逢うもののほうが目立ちます。「デストピア」「neuromancer」のような未来の夢もあるのですが、それでも半分は夜の夢。

TERUの「夢」は、ほぼ全部が未来の夢

そしてTERUさんです。夢のことを言うなら、TERUさんの話をしないわけにはいきません。TERUさん作詞の18曲のうち「夢」があるのは9曲で、ちょうど半分。そのうち8曲が未来の夢、眠りの夢は1曲だけです。TAKUROさんよりさらに、未来の夢に振り切っています。

代表は、やっぱり「疾走れ!ミライ」(2014年)。曲の真ん中に「夢」を置いた歌です。

フレーズ曲名
息を切らし泣いてても君は僕の夢だからRainbirD2009
そう夢だけは失いたくない疾走れ!ミライ2014
叶えられる夢などきっと初めからないんだ疾走れ!ミライ2014
誰かが夢を叶える度にひとつ夢が奪われてしまう空が青空であるために2016

全部、これから叶える側の夢です。同じ行の近くに出てくる言葉も「叶える」「明日」「照らす」で、TAKUROさんの「夢に疲れる」「夢を蹴る」とは、並んでいる言葉がまるで違う。

「負ける夢」「つかむ夢」を、TERUさんの曲でも同じように分けてみると、こうなります。

「負ける夢」「つかむ夢」の曲数(TAKUROとTERU)
「夢」に何をする言い方か。TAKUROとTERUの比較(曲数)

TERUさんで「負ける夢」にあたるのは、「夢が壊れそうになっても」(Little Lovebirds)、「風は夢を攫ってく」(BLAST)、「ひとつ夢が奪われてしまう」(空が青空であるために)の3曲。「つかむ夢」は「夢から夢へボリュームアップ」(Super Ball 425)、「夢から夢へ駆け出し」(RainbirD)、「そう夢だけは失いたくない」(疾走れ!ミライ)、「夢が夢で終わらないように」(HEROES)、「夢掴み続けたその手を離さないで」(空が青空であるために)の5曲です。

まとめると、TAKUROさんの夢は見続けるもので、しばしば疲れたり蹴ったり溺れたりするもの。HISASHIさんの夢は夜に見て覚めるもの。TERUさんの夢はこれから叶えるもの。同じ「夢」という言葉を、三人がまるで違うものとして書いていました。特にTAKUROさんとTERUさんでは、大きな傾向の違いが見られました。

ちなみに、未来の夢だけで「BEAUTIFUL DREAMER」の前後を比べ直しても、TAKURO作詞で前53%、後50%。やっぱり変わっていない。

第6章:「愛してる(愛している)」と「愛する」はどちらが多くの曲に登場するのか

「愛」のほうにも、感覚と違うことがありました。

「HOWEVER」の「今告げよう 誰よりも 愛してると」があれだけ耳に馴染んでいるので、「愛してる」はGLAYの歌詞のあちこちにあるものだと思っていました。

数えてみると、「愛してる」「愛している」がある曲は14曲。同じ数え方で「愛する」(「愛する人」「愛する事」など、その形のまま出てくるもの)を数えると20曲。どちらも、全体から見ればずいぶん少ない。「愛」のある曲は168曲もあるのに、「愛してる」と言っている曲は14曲。GLAYの「愛」は、相手に告げる言葉というより、「愛の歌」「愛の言葉」「愛の意味」のように、歌の中で名指しされる言葉なのかもしれない。

おわりに:「愛も夢も」

最後にひとつ。GLAYの歌詞には、夢と愛が同じ行に並んで出てくる曲があります。

フレーズ曲名
愛も夢も実感がないさよならはやさしく2024

私は「愛のバンドか、夢のバンドか」と問いを立てたのですが、GLAYの歌詞の中では、夢と愛は競い合う二つの主題ではなく、いつも一緒に置かれる一対の言葉でした。問いの立て方そのものが、この一対を切り離して見ていたのかもしれない。

「夢」の意味の判定は私の読みなので、別の人が判定すれば数曲は動くと思います。判定に迷った11曲は「判別できず」として残しました。

「この曲の夢は眠りの夢だと思う」「愛と一緒に出てくる言葉、これも入るんじゃない?」など、気づいたことがあれば、ぜひXで教えてください。