GLAY「Beautiful like you」カノンの調べと究極の愛、そして垣間見える親心

GLAYの曲を味わう

わたし娘の名前は「カノン」といって、GLAYの「HOWEVER」などの曲から取った名前です。

娘は2歳からバイオリンを習っていて、今4歳ですので、約1年半ほどバイオリンのレッスンを続けてきました。とうとう先日、パッヘルベルのカノンを演奏する機会があったので、もう感慨深いわけですよ。カノンがカノンを弾いているという状況が、親としては本当に嬉しかったので、この記事を書くことにしました。

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1. 三重の「カノン」が導く、特異なラブソング

GLAYの17thアルバム『Back To The Pops』に収録されている「Beautiful like you」。この曲は、私にとって単なる一曲のバラードを超えた、かけがえのない特別な意味を持つ曲です。

なぜなら、この曲はJ-POPの王道とも言える「カノン進行」で作られており、さらに間奏のギターソロでは、TAKUROとHISASHIの美しいツインギターのハモリによって、パッヘルベルの「カノン」のメロディが奏でられるからです。そして上述のとおり、私の娘の名前は「カノン」と言います。カノン進行、ギターソロのカノンメロディ、そして娘のカノン。この三重の必然性が重なるこの曲を聴くとき、私は運命的なものを感じずにはいられません。

この曲を初めて聴いたとき、私はてっきり「付き合いの長いカップルの歌」だと思っていました。夢を追いかける不器用な男と、それをずっとそばで応援し続ける女性。そんなラブソングだと解釈していたのです。

「雨にうたれ雪にうもれ 夢にやぶれたとしても 私はいつでもそばにいる」

このサビのフレーズは、困難な状況にあっても決して見捨てない、深い愛情と献身を感じさせます。しかし、よく考えてみると、これはGLAYの王道ラブソングではありません。GLAYのラブソングといえば、圧倒的に「男性から女性への愛」を歌ったものが多いからです。女性目線で、しかも相手を包み込むような母性を感じさせるこの曲は、GLAYのディスコグラフィーの中でも特異な光を放っています。

2. 娘と歌って気づいた、歌詞に隠された「本当の視点」

そんな女性目線のラブソングだと思っていたこの曲ですが、ある日、娘のカノンと二人で口ずさんでいたとき、ふと全く違う景色が目の前に広がりました。

「これは、親である私が、子どもに対して抱く感情そのものではないか?」

そう気づいた瞬間、歌詞の一つひとつの言葉が、これまでとは全く違う重みと温かさを持って胸に迫ってきたのです。

「焦っているのね誰かと比べて 答えなき一日が終わる」

子どもが成長していく過程で、周りと自分を比べて落ち込んだり、思い通りにいかずに焦ったりする姿を見ることは多いものです。親としては、代わってあげることはできないもどかしさを抱えながらも、ただその背中を見守り、「あなたはあなたのままでいい」「私だけはあなたの本当の姿を知っている」と心の中でエールを送り続けるしかありません。

「夢見れば傷つくけどその時の出会い」

カノンが自分の足で歩き出し、夢に向かって挑戦すれば、必ず壁にぶつかり、傷つくこともあるでしょう。しかし、その傷や挫折も含めて、すべての経験が人生の糧となります。親が子どもに望むのは、失敗しないことではなく、失敗を恐れずに愛し、挑戦し続けることです。

「カーテンを開けて夜空を見上げて 私にはあなたが見えるわ」

娘はまだ4歳ですが、大学生になったら一人暮らしをするのでしょうか。しばらく会っていない娘が元気に生きているのか。一人暮らしで自由になって毎日飲み歩いているのか、男を連れ込んで学校をサボっているのか、充実した一人暮らしなのか、社会人になったら仕事はうまくいっているのか。分からないけれども、夜空を見上げれば同じ空の下で頑張っているんだなと思える気がする。

そう考えると、「Beautiful like you」というタイトル自体が、親から子への無上の賛歌に聞こえてきます。「あなたは、あなたのままで美しい」。これほどまでにシンプルで、力強い肯定の言葉があるでしょうか。

この曲は、単なる男女の恋愛を超えた、もっと大きくて普遍的な「無償の愛」を歌った曲だったのです。しかし、これはあくまで私の個人的な解釈に過ぎないのでしょう。

3. TAKUROが語る「究極のラブソング」の形

実は、この曲の作詞・作曲を手掛けたTAKURO自身も、公式サイトのインタビュー(Vol.113)で、この曲の本質を突く非常に興味深い発言をしています。

究極のラブソングは、もう対象と向き合っていないですよね。対象は未来を見ていて、その後頭部を見ているものなんじゃないかな? そして、その歩き出す手助けをするのが究極だとしたら、向き合っているうちはまだまだで。今回のアルバムは向き合っている、身近でフレンドリーな曲が多いですけどね。だけど、この「Beautiful like you」に関しては、対象の旅立つ背中を見ているようなラブソング。

男女の究極の愛とも言えるし、親から子への愛にも似たようなものを感じます。子どもは親から離れ、自分の未来(前)を向いて歩き出します。親はその後ろ姿(後頭部)を見守りながら、いつでも帰ってこられる場所として「私はいつでもそばにいる」と歌うのです。

TAKUROはまた、「子どもができてから俺が綴る言葉は全部遺言のようなもので。俺がもしいなくなっても、何か助言が欲しかったらGLAYの曲を聴けばいいし、生きる上での知恵みたいなものはそれで十分に伝わるんじゃないかな?とは思いながら書いてはいます」とも語っています。

女性目線のラブソングとして聴いても十分に感動的ですが、親から子へのメッセージとして聴き直したとき、この曲はさらに深い慈愛と力強さを帯びて響いてきます。

GLAYが30年という長い年月をかけて辿り着いた、究極のラブソング。TAKUROとHISASHIが奏でるカノンの美しいハモリに乗せて、娘のカノンと歌いながら、私はこの曲が持つ本当の温かさに触れた気がしました。いつかカノンが大人になり、壁にぶつかったとき、この曲の「私はいつでもそばにいる」という言葉が、彼女の背中をそっと押してくれることを願ってやみません。

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